教育系スタートアップを手伝って気づいたこと

MBA生活

はじめに:なぜ教育系スタートアップを手伝うことになったのか

きっかけは大きく3つあります。

まず1つ目は、学部時代の塾講師のアルバイト経験です。私は小学生から大学受験生まで、幅広い年代・科目を教えてきました。受験を目指す生徒から学校の補習目的で来る子まで、目的もさまざまでした。このアルバイト経験がとても楽しく、いつかまた教育に関わる仕事がしたいと思っていました。

2つ目は、スタートアップの組織や働き方に興味があったことです。私はMBA留学前、大手の日系企業で働いていました。典型的な年功序列、部署も多く、意思決定は稟議や会議体を経てようやく進む、いわゆる“ザ・大企業”の文化でした。それはそれで嫌いではなかったのですが、せっかくなら真逆のスタートアップの世界も体験してみたいと思っていました。

3つ目は、たまたまのご縁です。入学当初から教育×スタートアップに興味はあったものの、特に具体的に動いていたわけではありませんでした。そんな中、知人から「少し手伝ってみない?」と声をかけてもらい、その人たちの人柄にも惹かれて参加を決めました。

やっぱりスタートアップは大変

結論から言うと、スタートアップはやっぱり大変です。私が関わったのは創業2年目の超初期フェーズ。フルタイムメンバーは2人で、私は外部からの支援という立場でした。とはいえ、この2人も本業があり、スタートアップに割ける時間は限られていました。情熱はあるものの、時期によってモチベーションに差があり、期日が守られないこともしばしば。思った以上に物事が進みませんでした。

「とにかく始めてから考えろ」とよく言われますが、実際はターゲット層の絞り込みや価格設計など、始める前にもう少し吟味が必要だと感じました。特に教育ビジネスは顧客の予算制約が厳しく、セグメントが狭すぎると、思ったように利益が出ません。サービスのコンセプト自体は素晴らしかっただけに、歯がゆさを感じました。

また、大企業に比べて役割の幅が広すぎる点も大きな壁です。例えば、財務に強い人が、未経験のマーケティングや法務まで担当する必要がある。質問できる上司もいない環境で、手探りで進めるしかない。この点は、組織の強さが際立つ大企業との大きな違いでした。

教育ビジネスならではの難しさ

教育業界の最大の難しさは、「顧客が毎年入れ替わる」というビジネス構造です。たとえその年に大成功しても、生徒は学年が上がれば卒業してしまう。毎年ゼロからの集客が必要で、コストもかかります。

さらに、教育業界には「いい評判が広まりにくく、悪い評判はすぐに広まる」という特徴もあります。例えば塾なら、生徒の成績が上がっても、ライバルに教えたくないという心理が働き、紹介が起こりにくいんです。保護者にとっては「秘密にしたい良い塾」になってしまう。この辺りも、他業界にはない難しさだと思います。

大企業とスタートアップ、両方を経験して感じたこと

大企業の強みは「仕組みの完成度」と「安心感」です。役割分担が明確で、自分の強みを生かしやすく、先輩や上司のサポートもあります。一方で、意思決定のスピードや柔軟性、事業への熱量はスタートアップの方が圧倒的に感じられます。これは単に働いている人の情熱の差があるからというわけではなく、経営陣との距離が近い分、ビジネスの手触り感を強く感じられるからだと思います。

未経験でも「やるしかない」状況になるからこそ、自分や仲間の強み・弱みが見えてくるし、「自分が価値を出すとはどういうことか?」を自然と考えるようになります。

おわりに:教育×スタートアップの面白さ

教育×スタートアップは、正直簡単な領域ではありません。それでも、教育ビジネスは顧客とのWin-Winの関係になりやすいく、良いサービス=生徒のためになる→顧客が増えて利益も増えるという軌道にのれば、これほどやりがいを感じられる業種も少ないのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました