出身を問わず、各国MBA生から最も人気がある職種の一つがコンサルタント、とりわけ戦略コンサルと呼ばれる職業になります。倍率、選考内容ともに競争率は高く、インターンを獲得することはとても難しく、何も準備せずに内定をもらえるのは本当に少数の天才たちのみです。私の周りでもいわゆるMBBに内定をもらっているのはほんの一握りです。私はMBAの初期プログラムでコンサル就活生向け授業を受けていたため、友達の多くがコンサルに出願していました。ケースインタビューの練習に付き合ったり、模擬面接の試験官を演じたり、そして最終的には私も日本のコンサル会社へ出願をしましたので、それらの体験を記事に残したいと思います。
MBA生のインターン獲得ルート
「MBA生のコンサルインターン獲得ルートとは?」
ここでは日本オフィスへ出願することを念頭に体験を書いていきます。コンサルの場合は、グローバルと東京オフィスでスケジュールや面接の内容にはあまり差はないようですが、私自身海外拠点への出願をしていないので日本に絞っていきます。
インターンの選考は、課される内容自体は転職組がたどるものとほぼ同じものを受けることになります。筆記試験(ウェブテスト)→複数回面接(ケース面接/Behavioral面接)→内定のルートです。戦略コンサルの場合、どのファームも英語で面接が課される可能性があります。英語面接の確率(100%なのか完全な運なのか)はファームによりけりです。
日本オフィスへ出願する場合、タイミングは大きく二つ存在します。一つが海外渡米前の1月~6月に開かれる壮行会に出席し、早期出願のルートを確認すること、二つ目は通常のサマーインターン獲得タイムラインにのっとり11月から12月にかけて出願するルートです。
壮行会の情報は自分で検索してキャッチするか、EdやAgosなどのMBA受験カウンセラーからの情報共有にて情報を得ることができます。この時点では何が何でもコンサル!という温度感である必要はないので、興味が少しでもある場合には参加することをお勧めします。また、他MBA入学生とも知り合える良い機会にもなります。
通常のサマーインターンの場合には、各大学必ずコンサルに関してはアナウンスがあるので、そちらを注意深く聞いておくことと、日本に拠点を有しサマーインターンを実施しているファームは数自体が少ないので、自分で各会社のサイトを訪問し確認することで十分キャッチできます。
「MBAのキャリアセンターを活用する」
海外MBAであれば、必ずキャリアセンターにコンサルグループが存在しているかと思います。クラブも存在することが多いでしょう。そうしたコミュニティーの所属することで、過去に出された質問の内容や、面接の練習相手を見つけることができるので、必ずキャリアセンターを活用した方がいいです。また、MBA生の場合には英文でのResume提出が要求されることがほとんどなので、Resume対策としても大学側のサービスを活用した方がベターです。
「在校生・卒業生のネットワークを活かす」
日本人のアルムナイでもいいですし、グローバルなネットワークを活用しても大丈夫です。他者との比較やトランスファーの機会、カルチャーなどを聞くことができれば、自分がどのファームにフィットするかの判断軸になってくるかと思います。また、同じ大学出身という共通項があれば、通常のリクルーターよりもより詳細でセンシティブなところも聞けるかと思います(給与水準等)。ファームによっては企業側から現役社員とのカジュアル面談の機会やディナーセットをしてくれる場合もあります。私の感覚からはこのリクルーターとのカジュアル面談で合否(少なくともネガティブに響く)には関係ない感じだったので、素直に気になっている点をガンガン聞いていけばよいと思います。
「LinkedIn」
海外では主流なのですが、LinkedInというサービス(ビジネスマン版SNS)を経由してコールドコールを行うことで自分にないネットワークを無理やり作っていくという方法も確かに存在します。私の意見ではVCや一部のかなりクローズで大々的な採用活動を行っていない業界・企業に対してはこの方法をとってもいいのでしょうが、コンサル業界はMBA生に広く門戸が開かれていますし、間違いなく近い世代のアルムナイの一人は業界にいるはずなので、コールドコールに時間をかけるくらいであれば、すでに自分が持っているネットワークを使った方が質も量も保てると思い、おすすめはしません。
選考プロセス
「オンラインエントリーの締切」
通常ルートの場合、オンラインエントリーの締め切は11月~12月に設定されています。他の業界と比べると数か月早いタイミングで締め切が来るので、要注意です。コンサル業界はこのエントリー及び次のウェブテストのスケジュールはグローバルで共通で(おそらくウェブテストの内容の流出防止)、締め切超過者の特別対応は基本的には不可能だと思います。ただし、エントリーに必要な要素は非常にシンプルでカバーレターも不要なことが多いので、さほど時間はかかりません。入学後にレジュメだけはキャリアセンターと何度もブラッシュアップしていきましょう。
「Networkingイベント・Coffee Chatの活用法」
ファームによっては〇〇生向けディナーイベント的なものがあり、エントリーをすると招待されます。が、出願した地域に関係なく招待されるため、基本的にはここのイベントの出席は特に選考には加味されていないと思われます。ただし、情報を得るという点においては有益だと思うので、出席して損はないでしょう。
ウェブテスト(筆記試験)対策
「コンサルインターンのウェブテスト対策」
ウェブテストの内容は各ファームによって異なります。Youtubeなどで検索すれば多用は情報が出てきます。特に英語で検索すると割と情報が出てくるので、さらった見ておくことをお勧めします。どのような形式なのかを把握した後は、対策という対策も難しいです。練習問題があるわけでもないですし、、、ただしどのファームも時間制限が非常にシビアという点は共通しているので、計算スピードと読解スピードを鍛えておくことくらいでしょうか。
GMATスコアは活用できる?
たいていのファームはエントリー時にGMATのスコア提出が求められます。正直GMATのスコアがどれほど響いてくるのかわかりませんし(少なくとも周囲でエントリーの時点でふるいに落とされた人は聞きません)、今更GMATのスコアを変えることもできないので、この点を気にしてしまうよりは、切り替えて面接対策へ進んでおきましょう。
ケース面接対策
「ケース面接の基本構造」
巷でいわれるケース面接は二つの要素を指すことが多いです。フェルミ推定と”ケース面接”。フェルミ推定は日本に電柱は何本あるか?とか、自動車産業の市場規模は?など一見前提知識がないと答えられない質問に対して、自分の持っている一般常識のみで推定を行い、回答し説明するということが求められる問題。”ケース面接”はある企業の事例がだされ(データやグラフが具体的に提示されることもあれば、口頭でさらっと補足説明されることもある)、売上を改善するにはどうすればいい?といった具体的な解決策を求められることもあります。どちらも、前提条件を確認しつついかに論理的に(飛躍なく)回答にたどり着き、その道筋を説明できるかという能力が試されています。お題自体も非常に難しいのですが、与えられる検討時間も3分から5分(英語の場合も同じ)と非常に短く、その間に計算、グラフの読み取り、解決策の発案、説明の準備など頭を巡らすことは多岐にわたります。
ユニークな解決策を思いつけるか?という点よりも、短時間でいかにいろいろな選択肢を思いつき、それらの選択肢の中から最善策を論理的に導いたか、という思考の流れを見られている感覚でした。また、面接官からは随時するどい質問が飛んでくるので、それに対するレスポンスの速度も見られています。例:君の仮定のこの部分をこういう風に考え直すと、結果はどういう風に変わってくる?
現役MBA生が使う対策本・リソース
ケース面接対策はじっくり一人で勉強というよりも、友達としっかり時間を区切って、本番さながらの緊張感をもって面接練習をする、他人に自分の思考の弱点を追求してもらい、その場で修正案をすぐにだす練習をする、というのが最適だと思います。私の場合は同級生と冬休み~実際の面接までの約3週間は週に2回はケース面接の練習をしていました。この練習によって特に短時間でそれなりの回答を用意する、という能力は劇的に向上させることができたと思います。また、私は英語で話す必要があるとき、思考力が日本語時と比べて下がるので、英語面接の練習を重ねることができた点もよかったです。
対策本については、正直購入する必要がないかなと思っています。基礎となる考え方はネットに無料で落ちていますし、本でちまちまやっていく時間もあまりないと思います。
私が参考になったのは以下のYoutubeです。ケース面接の流れを理解できるので、一度みてあとは同級生と問題を出しあっていくのが一番効率がいいかと思っています。
Behavioral Question(経験・リーダーシップ)対策
「コンサルのBehavioral Question対策|MBA生の強みを活かす方法」
ケース面接のみならずBehavioral系もきちんと回答できるようにしておいた方がいいです。特に面接が進めば進むほど、Behavioralが中心になってきたイメージがあります(そこまで進むと通常のケース面接はみんなできて差がつきにくいのかと推測)。新卒時代と異なるのは、学生時代の経験ではなく、当然前職での経験をより深く聞かれる点です。フレームワークとしてはよく言われるのがSTARと呼ばれるものです。Situation、Task、Action、Resultがカバーされるように順を追って説明していくもの。この点は、MBA受験やエッセイでさんざん鍛えてきたと思うの、意識しすぎる必要はないかと思います。またダイバーシティ経験やコンフリクト調整、挫折などよく聞かれるBehavioral QuestionはMBA受験ですでに回答を作成済みかと思うので、この点もMBA生の強みを活かせると思っています。
マッキンゼーがサイトに聞きたいこと、求める回答をすでに明示してくれているので、よく読んでおくことをお勧めします。
https://www.mckinsey.com/jp/careers/interviewing
MBA生に求められているもの(他転職者との差別化)
「MBA生だからこそコンサルに求められる強みとは?」
MBA生に求められていることは、3点あると考えています。一つはコンサル業界以外の事業会社での実務経験があり、その業界の知見を有していることと企業の意思決定や組織に理解があること。二つ目はMBAを通してジェネラル(会計、ファイナンス、マーケティングなど)な知識を有すこと。三つめがリーダシップが取れるような人間力があること。新卒組で戦略コンサルに入社している方々はやはりIQや頭の回転、新卒時から鍛えられた資料作成術は相当なものがあります。その中でMBA転職組としてバリューを出せるとしたら、上記の3つの点だと思います。特に事業会社での実務経験があれば、マネジメントサイドと現場サイドのコンフリクトや日系企業の意思決定がどのように行われるか(稟議書、根回しなど)対する深い理解は転職者ならではの強みだと思います。
今回はざっとコンサル就活について書いてみました。今振り返ってみると、当時の自分はどんなことに疑問を持っていたかを忘れてしまっているものですね、、、この点が気になる!というのがあれば気軽に問い合わせフォームから質問いただければと思います。
よければ授業で得たスキルの感想を書いた別記事もあるので、読んでいただけると嬉しいです。

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