先日初めてMBAでのケースコンペティションに参加してきました。私にとっては何もかもが初めてで、一皮剥けることができたなと思います。備忘も込めてコンペ参加の経験を記録したいと思います。
ケースコンペティションとは
私もそうでしたが、まず”Case Competition”ってなんやねん?ってなる人も多いと思います。実際MBA生活が始まると当たり前のようにコンペコンペと周りが話し始めます。実際さまざまな形式が存在するので、ケースと一言で言っても内容はひとくくりにできません。例えば、学内の同学年だけで行われるコンペティションがあったり、他大学を含め賞金も10,000ドルがでるような”ショーレース”のものもあります。また、テーマはある企業の成長戦略を考えなさい系から、ファンドの投資戦略や新規事業立案など、業界・分野も様々です。基本的には、全てのチームにある共通したお題が出されて、そのソリューションを決められた期日に発表する、という形式のコンペティションになります。
私の場合、不動産投資ファンドの戦略立案という少しニッチなケースコンペティションに参加してみました。参加者は私の大学以外にも6校集り、ニューヨークの学校で開催されました。渡航費や滞在費は全額とまではいきませんが、8割程度は主催側からに請求でき、遠征になってもそこまで負担は痛くありません。金曜日に発表当日がありましたが、前日の木曜日の夜にキックオフパーティー、金曜日夜に順位発表と兼ねたパーティー、土曜日には不動産ケースらしく、NYの開発物件のプロパティーツアーが開かれました。
MBAで開かれるケースの特徴
MBAで開かれるケースの特徴はなんといってもスポンサーの存在です。大学側や生徒が主体となって運営されるのではなく、れっきとした就活の場です。私の参加したケースも3社ほどいわゆる超大手の不動産会社がスポンサーとなっていて、賞金も彼らの協賛金から出ます。また、参加する生徒は自らがResumeを提出する必要があったのですが、全ての生徒分のResumeが綺麗に製本・バインディングされ、雑誌のような形ですべての参加者(大学関係者、スポンサー会社)に配られていました。Resumeをもらった彼らは、きちんと一人一人の履歴書に目をとおし、前夜に開かれるキックオフパーティの時点でResumeをもとにスポンサー側から生徒に話しかけに行っています。私も参加者の中では唯一の日本語ネイティブ、かつバックグラウンドも日系企業(他にアジア系はいましたが、彼らは全員学部からUSでバックグラウンドの企業も米国企業でした)ということで、数名の人から「日本のマーケット進出を考えていて、直近で日本人の採用を進めている。うちに興味はないか?」というおいしい話を持ち掛けられました。(コンペの場ということもあり、多少生徒側をよいしょしている感も否めず、とんとん拍子で話が進むもの中は不明ですが。)
コンペ出場のメリット・デメリット
私の体験からは、素直に今回コンペに参加してよかったと思っています。純ジャパの私にとっては、ケースに参加する、かつ対外的で大々的なプレゼンに挑む、というのは挑戦時点でかなり大きなチャレンジで、かなり苦労もありましたが、その分大きく成長できたと思います。
メリット
・緊張下での英語
メリットの一つ目は、学外での英語でのプレゼンテーションというプレッシャーを得られることです。また、ケースは通常4~5人のチームで行われるため、自分だけが恥をかけば済むわけではなく、自分の英語や発表が拙いと、チームにまで迷惑をかけてしまいます。当然他の学生も就活の一環として受けているので、かなり本気で取り掛かっています。議論、スライド作成、発表を短期間で完成せねばならず、そうした緊張下での英語というのは、実は普通にMBA生活を送っているだけだと遭遇する頻度は低いです。
・大学の枠を超えた共通バックグラウンドの知り合いを作れる
ケースの種類にもよりますが、前述したとおり私が参加したケースはがちがちの就活目的のものでした。参加学生も当然不動産業界での就職を狙っている学生たちです。彼らと同じテーマのケースで悩み、同じようにプレゼンを終え、懇親会を過ごせば、自然と仲良くなれる人が出てきます。MBAを経由して職に就くような業界、会社はコミュニティも狭いので、彼らとの出会いは将来役に立つ確率が高いと思われます。また、他国の不動産マーケットについて知れる、あるいは日本のマーケットに対して質問に答えるということもしました。こうした経験は普通の友人関係ではなく、特定の業界に特化したケースに参加したからこそ広がったものだと思います。
・優秀な人のResumeが見れる
こちらはケースによりけりかもしれませんが、私の場合は生徒側にも確認のResumeが配布されました。いわゆる投資銀行やPEファンド、不動産ファンドで活躍してきた学生たちのResumeを拝見することができるというのは実はレアな経験かもしれません。同じ大学であれば友人に見せてもらうことは可能ですが、実は推奨されているResumeの書き方は大学毎に微妙にことなるので、見ていて面白いです。。
デメリット
・時間の融通が利かない
ケースは非常に短い期間(数日から長くても2週間)でプロンプトを読み解き、プレゼンまで形にしなければなりません。なので、いざプロンプトが発表されるとそこから発表本番までは文字通り缶詰め状態で、全ての時間をささげる必要があります。その期間、他のイベントやグループワークの機会、勉強、就職活動はほぼできなくなります(ネイティブであれば両立可能)。私のケースは11月頭にお題発表、一週間後にNYで発表というスケージュールでしたので、仮にIBやコンサル志望がPlanBとして不動産に興味があり参加してみました、みたいな状況だと詰んでると思います。
・テーマに興味がなければ地獄
今回私が参加したケースのテーマは不動産投資でした。私の興味とも合致していたので、難しかったですが、楽しんで課題を進めることができました。一方で、もし自分に興味のないテーマのケースに参加した場合は相当苦しかっただろうなと思います。人数が少ないし、大学を代表していくので、簡単にドロップアウトできません。また、前後のパーティーは当然リクルーティングがメインで、周囲もどいうバックグラウンドで将来どういうことをやりたいか、を聞いてきます。”実は不動産は第二候補で、、、”みたいな発言をできる空気ではないので、常に演じる必要があります。
総括
改めて振り返ると勇気をもってトライしてよかったと思っています。当然英語、米国での業界知識の面ではチームメイトに著しく劣ってしまうため、結構メンタル面で落ち込むことも多いですが、それを乗り越えれば、大きく成長できた自分に出会うはずです。
ただし、就職活動やそのほかの活動に割く時間を天秤にかける必要もありますので、やみくもに手を出さずに、きちんとスケジュールやケースのテーマを把握したうえで参加することをお勧めします。
ケース体験記はこちらのesade様のブログも面白いですので、ご参考まで。
ケースコンペティション体験談(Kellogg Energy & Sustainability Case Competition)
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