外国人のプレゼンは本当にうまいのか?MBA留学で気づいた“上手そうに見える”マジック

MBA生活

MBAに留学してから、「外国人のプレゼン、なんかすごいな」と思う場面に何度も出くわしました。

堂々とした話し方、場を和ませる冒頭のジョーク、自信に満ちたトーン。聞いているうちに「なるほど、説得力あるな」と思わされてしまう。でも、後から振り返ってみると──「あれ、結局何が言いたかったんだっけ?」と疑問が残ることも案外多いんです。

たとえば、プレゼンの結論が最初の問いとズレていたり(つまり論点がぶれている)、どう見てもChatGPTに丸投げしたようなテンプレ回答がそのまま貼り付けられていたり…。特に気になるのは、冗長なプレゼンが意外と多いこと。うまそうには見えるけれど、内容を深く追ってみると「うーん?」と思う瞬間が結構あるんですよね。それでまあよくあんなにも自信満々にしゃべれるな、、、と感心することすらあります。ただ、やっぱり表面上はものすごくいいプレゼンに見えるんですよね。

※こういう文章を書くと、主語デカすぎみたいなを言われそうなので、一応ここで言う「外国人」は、私がMBA期間中に見聞きした英語ネイティブの英語プレゼンを指しています。一方の「日本人」は、同じくMBA期間中に見た、日本人による英語プレゼン(MBA以外の場面を含む)を指しています。

「それ、答えてなくない?」と思った質疑応答

ある日のクラス発表で、鋭い質問を受けた学生がいました。彼は少しも動じることなく、堂々と話し出します。一見「おお、切り返し上手!」と感心したのですが、よく聞くとその回答、質問の本質に全く答えていない。

むしろ、関係のない自身のエピソードを延々と語っていただけ。なのに、英語プレゼン定番の「抽象→具体(For example, in my case…)」というフォーマットで話されると、なんとなく“すごそう”に聞こえてしまうから不思議です。

実は、日本人のプレゼンは優れている?

一方、日本人のプレゼンを見ると──構成がしっかりしていて、話の展開もわかりやすい。論理的で、内容の密度も高い。スライドも美しくて、よく練られている。読み手の思考にそって、きちんとスッテプバイステップなスライドの流れにもなっています。

正直、MBA生活を1年過ごして、むしろ「日本人のプレゼンって実はかなりレベル高いのでは?」と感じるようになってきました。

でも確かに外国人のプレゼンに比べて見劣りする部分もあります。私は1年間この差はどこから生じるものなのかという疑問を持ち続けて、正直正解はわからないのですが、仮説としては“間”や“つかみ”、つまり「演出力」みたいなポイントが典型的な日本人のプレゼンだと弱いのではと思っています。

「伝わる」から「残る」へ:演出力の磨き方

私は最近、「伝わるプレゼン」から「記憶に残るプレゼン」に進化させるために、次の3つを意識するようにしています。

  • 冒頭の“つかみ”に1フレーズのジョークや問いかけを入れる
    → 聴衆の注意を一気に引く
    まあ、こういわれると、そりゃ基本だろって話になるのですが、これが結構難しいんです。もちろんちゃんと準備していれば、興味を引くような小ネタを冒頭に話すことで聞き手を引き込むことはできるんですが、ネイティブのような粋なジョークで笑いを取ったりするためには、米国社会のコンテクストをキチンを知っておく必要があります。たとえば、だれもが知っている映画やドラマのワンフレーズ、NFLやNBA、MLBといったメジャースポーツのトレンドを抑える、みたいなことになっていきます。こればっかりはテキストでの勉強のしようがないので、とにかく友達とたくさんはなす、米国滞在歴を長くする、みたいな地道な努力が必要な気がします。
  • 体をぶらさない
    →これは彼らが意識的にしているのか、あるいは日本人だけが緊張時にそういう傾向があるのかわかりませんが、プレゼン中に体を揺らしてしまったり、手がふわふら動いたりすると、プレゼンが一気に弱々しく見えてしまいます。ネイティブたちをみていると、自分がスピーカーの番のときでないタイミングでも、手は前か後ろに組む、ポケットに手をいれるなどはありますが、ふらふらと落ち着きのない感じは出しません。
  • 質疑応答では、まず質問の要約から始める
    → 論点をすり替えず、冷静に軸を維持する。よくわからなければ素直に質問者聞き返す勇気も大事。質問を聞かれたときに、その質問の要約、つまり何を聞かれているかを一文で頭の中で纏められない場合、質問者に確認の質問返しをした方が良いでしょう。

結論:「上手そうに見せる」だけでなく「伝え、残す」

私は、「日本的な丁寧でロジカルな構成 × グローバルに通じる演出力」のハイブリッドこそ、最強のプレゼンだと思うようになりました。日本の社会人生活で鍛えられたプレゼン能力とネイティブのもつテクニックを合体させることで、よりいい発表ができるのでは、と思います。

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