【体験談】MBAオリエンテーションの内容と感想 | 準備すべきことと成功のポイント

MBA生活

いよいよフルタイムMBAのプログラムが開始しました。私の通っている学校は、東海岸や欧州の学校と比べるとプログラムの開始が1か月ほど早いようです。この先行して行われる1か月間にオリエンテーションがあり、これから2年間を共に過ごす仲間との親睦を深めたり、いくつかの必修授業を受けてMBA流の授業スタイル・進行に体を慣らす期間となります。

MBA初日

7月末の週からプログラムが開始しました。私の場合、少し早く日本から米国に入っていたので、引っ越しや生活基盤(住宅、ガス電気などのインフラ、必要最低限の家具)の準備は整っていましたが、それでも1か月ではまだまだ準備しきれないことがたくさんありました(賃貸契約を進めた際の記事があるのでご参考までに)。例えば、クレジットカード。米国ではクレジットヒストリーという、その人の信用度を数値化したものがあり、ほぼすべてのクレジットカード会社への申し込み時に確認されます。純ジャパの私は当然、米国でのトランザクション(家賃支払い等の記録)がなかったため、新規のクレジットカードを作るのが非常に難しく、時間がかかってしまいました。同級生となる日本人のメンバーとは就学式の2日前に学校の近くのレストランで集まりました。皆さん異なるバックグラウンドをもっていて、米国就活を目指す方もいれば、企業派遣でさらなるプロモーションを目指されている方もいて、非常に刺激をもらいました。エッセイとインタビューでさんざん考えさせられただけあって、キャリアビジョンや自分のやりたいことがそれぞれ明確にあり、話を聞くだけでも自分の世界が広がって楽しかったです。

さて、いよいよMBA初日ですが、初日は朝8時に集合し、まずは同級生たちと朝食を食べるイベントがありました。パーティのように仲良くなるための企画(クイズなど)はなく、純粋に朝食を食べるだけなので、自発的なコミュニケーションが必要でした。とはいえ、みんなが初対面のため、「名前は?」「出身は?」「米国は初めて?」「バックグラウンドは?」といった定型質問が飛び交い、私も同様に質問を繰り返す感じでした。私は会場への道に迷っていたときに、同じように案内板を見て悩んでいたインドネシア出身の学生と仲良くなり、緊張することなく楽しめました。

そうこうしているうちに朝食が終わり、入学式が始まりました。まさにMBAといった感じで、学長(Dean)が全生徒に向けて歓迎スピーチをしてくれました。スピーチはそこまで早い英語ではなかったのですが、しっかり集中していないと置いていかれるような内容で、一人で絶望していました。ホールの壁には、今年の学生の出身国の旗がずらっと並んでいて圧巻でした。見慣れた国旗もあれば、名前が出てこない国もあり、これから2年間、経験したことのないような多様な環境で勉強できることに期待が膨らみます。

Learning Team Building

さて、地域にかかわらず多くのMBAプログラムでは、必修を一緒に受けるクラス(日本でいう「1年A組」のようなもの)とは別に、「Study Team」(「Learning Team」など呼び方は学校によって異なります)と呼ばれる、一緒にグループ課題を進めていく班が振り分けられます。このグループは国籍や性別を考慮して多様性が確保されるように組まれます。私の場合は5人班で、南米出身、米国出身、アジア出身がいて、米国出身の中でもルーツや出身地域がばらけていました。このStudy Teamとはグループ課題を一緒に進めていく必要があり、授業中の課題もあるので、必然的にクラスでも近くの席に座ることが多く、最初に深く関わる仲間になります。

学校側もこのTeamで親睦を深められるように様々なプログラムを用意してくれているのですが、その中でも私が面白かったのは、学校外で行われた運動会のようなイベントです。この運動会では、アスレチック広場のような場所に行き、様々なアスレチック(障害物競争や目隠し競争、命綱をつけての綱渡りなど)に挑戦しました。アスレチックと聞くと子供の遊びをイメージしていましたが、これらは大人向け(チームビルディング用)に作られており、単純な体力や走力だけでなく、頭を使ったりチームメイトとのコミュニケーションが求められるような複雑な構造でした。時間制限もあり、英語で発言をためらう余裕などないため、いい意味で英語を使って考えをぶつける訓練になりましたし、やはり太陽のもとで汗をかきながら話すことで、一段と深い仲になれた気がします。

リーダーシップの授業

前述した親睦を深めることを目的とした授業の他に、徐々に必修授業が始まってきました。集中講座としてすでに終盤を迎えている授業に、リーダーシップに関するものがあります。この授業では毎回ケースを読み、自分がその立場だったらどのような決断を下すか、ということを話し合います。当然ですが、「こうすべきだ!」と簡単に言えるような事例はなく、どれも複雑で、リーダーとして自分が何を重視するか、自分の理想のリーダーシップ像がなければ、結論を出せないような難しいケースばかりでした。ダイバーシティを確保する意味(どうすればダイバーシティがチームにプラスの影響をもたらすか)、チームとしてうまく機能するためにはどのような仕組みが必要か、などを学びました。

授業では発言が求められるのですが、クラスで日本人は私一人なので、難しいことを考えずに日系企業の事例を共有すると、それだけでクラスに貢献できるような感じでした。やはり米国の企業とはマネジメントの仕方が異なるようで、それなりに良いエッセンスを与えられたのではないかと思います。

その他の必修授業

リーダーシップ以外には、会計やファイナンスの授業があります。レベル感としては、日本でそれなりに簿記や金融を勉強している人、例えば日商簿記2級や証券アナリストの資格を持っている人からすると、新しい知識はあまりないかもしれません。しかし私の場合、数字や数式を英語で言われると、そのたびに脳内変換に時間がかかり、かなり授業で遅れを取ってしまいます。

私は日本で証券アナリストの1次試験に合格していたので、ファイナンスの授業では発言できるくらい理解はあるのですが、数式を英語で伝えることに自信がなく、なかなか手を挙げられていません。また、必修ではありませんが、コンサルティングの授業も選択して受けています。こちらは学問的というより、コンサルティングファームへの就職を目指す学生向けのケース面接対策のようなイメージで、毎授業、ケース問題をグループでディスカッションします。

新卒就活の際にコンサルを受けていたので、フレームワークなどの基礎知識はあり、知識面で遅れを取ることはありませんが、厳しい時間制限の中でグループで結論を出してスライドにまとめる必要があり、ネイティブであっても会話スピードをゆっくりにする余裕がありません。私の今の言語能力ではすべての議論に参加するのは難しく、部分的に狙いを定め、この論点が出たら自分の意見を言おう、という作戦でチームに参加していました。

入学1ヶ月で英語力はどうか

早いもので、すでにプログラムが開始してから1ヶ月が過ぎました。ついこの間、学校から「全MBAプログラムの期間の中でもう2%が過ぎていますよ」という内容のメールが来て、驚きました。2年間という期間があるとはいえ、漠然と受け身で過ごしているとあっという間に終わってしまうのだろうな、という感覚があります。

英語力に関してですが、スピーキングはもちろんのこと、想像以上にリスニングが厳しいです。教授は比較的インターナショナル生向けにゆっくりと、また丁寧な文法の英語で話してくれますが、それでも3時間の授業中に集中力が欠けている時間は、全然理解できないことがあります。地味にマイク越しの英語も結構きついです。マイクの音質が決してハイクオリティではないので、どうしても曇りというかぼやけた音になって耳に届いていきます。また、ふいに「じゃあこの部分についてディスカッションして」といった流れが発生するのですが、英語だとまだどうしても質問内容の理解が曖昧だったり、そもそも質問自体を聞き逃してしまったりして、非常に困難な事態が発生することもあります。

また、ネイティブ同士の会話に混ざると、内容の20%くらいしか理解できないことが多々あります。これは、純粋なリスニング力がネイティブのスピードに追いついていないことや、スラング、少し崩した文法、日本の単語帳には載っていない砕けた表現や単語など、原因がさまざまあるように感じます。スピーキングについても、英語で何かを言うことへの抵抗感は日に日に少なくなっていますが、一方で「伝わればOK」という感覚も強くなってしまい、極端に言えば、単語の羅列だけでも前後の会話の流れから周囲は自分の言いたいことを汲み取ってくれるので、きれいなスピーキング力はむしろ低下しているかもしれません。当然、自分の英語に対してフィードバックはもらえませんので、間違った文法や言い回しを使っていたとしてもそれに気づいて修正するきっかげがありません。

日本にいるときには毎日30分のオンライン英会話をしていましたが、こちらに来てからは自分が英語を話す時間が30分もあるか怪しいです。授業での発言は1回30秒程度だとして、グループワークやイベントなど特別なことが発生しない日は、英語でのアウトプット自体が時間的にはかなり少量で終わっている気がします。この前、このあたりの相談を2年生の先輩にしたのですが、「英語力が1年間で向上するかというと非常に怪しい」という回答をもらいました。英語力を向上させるには、MBA生活とは別に、自発的に英会話や単語のインプット、アウトプットをしないと、本質的にはレベルアップしないとのことでした。私も1ヶ月ですが、すでにこの点で同じ感覚を持っているので、非常に焦っています。同時に、MBAのカリキュラム(ソーシャルイベントも含め)をこなすだけでも毎日くたくたなのに、さらに自己研鑽する時間や体力を確保するのは難しすぎる、という本音もあり、悩みは尽きません。一応リスニング力向上を狙って、「もごもごバスター」という界隈では有名な教材を購入し、毎日5分でもいいのでその教材を進めるようにしています。もごもどバスターはネイティブ特有のリンキング(省エネ発音)に的を絞った教材で1万円もしませんが、教材のボリュームは非常に厚いです。トーフルやアイエルツのリスニング対策とはまた異なるベクトルのリスニング対策という感覚はありますが、ネイティブ同士の会話に混じるための訓練としては、かなり効果が期待できそうな感じがしています。

家族との付き合い方

MBAにやってくる日本人のボリューム層は30歳前後が多いかと思います。ちょうど30歳あたりというと、MBA以外の私生活でもライフイベントが発生する時期だと思います。パートナーやお子さんも一緒に米国で生活する人も多いかと思いますが、MBA生活と家族との時間の確保は、正直かなり大変です。もちろん、純粋な勉強時間や就職活動の時間だけでも相当な時間を取られるのですが、ソーシャルな面でもパーティや飲み会がかなりの割合で発生します。MBAにせっかく来ているのだから、こうしたソーシャルも、いやむしろMBA生活の中でもトップで大切な活動かもしれません。しかし、全てのイベントに参加すると自分の時間が本当にゼロになります。家族との時間とMBAの時間をどのようにバランスを取るのかは非常に難しい問題で、多くの日本人学生がストレスを抱えているのではと思います(決して家族との時間がストレスになっているという意味ではありません)。アカデミック、就活、ソーシャル、家族との時間、自分ひとりの時間、すべて100点満点で進めるのは物理的にも精神的にも無理なので、トレードオフと割り切って自分の優先順位を決めていくしかありません。せっかくオンラインではなく、現地でフルタイムで高い学費を払っているのだから、現地でしかできない体験を重ねたいというのが今の僕の考えですが、この辺りはまた別のブログ記事に考えを整理したいと思います。

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